カリウム肥料の働きについて

カリウム肥料の働きについて カリウム

カリウム肥料の働きについて

カリウム(K)は窒素やリン酸と並んで植物の三大栄養素と言われています。

カリウムは根肥(ねごえ)とも言われ根の生育に必要とされていますが、
それだけでは説明としては不十分だと思います。

カリウムが植物にとってどのような働きをするのかまとめてみましょう。

カリウムの働き

カリウム(K)の主な働きを箇条書きでまとめてみると以下のようになります。

・植物細胞の浸透圧調整
・糖(デンプン)の合成、移動、蓄積
・タンパク質の合成

カリウムは植物細胞の浸透圧を高める!

カリウムの主な働きの一つに浸透圧調整があります。

カリウムは植物体内で水に溶けたイオンの状態で存在し、細胞の浸透圧を高めます。
植物細胞の浸透圧が高まると土壌に含まれる水との浸透圧の差から水を吸いやすくなります。

植物にとって水は必要不可欠であることは言うまでもありませんが、
肥料も水に溶けた状態で存在しているため
カリウムによって植物体内の浸透圧が高まることは
水と肥料、両方を吸収する上でとても重要になります。

また、植物体内の浸透圧を高く保つと
暑さ・寒さに対しての抵抗性が強くなります。

よって、夏越しに難のある植物を育てている場合は
春からの肥料はカリウムの割合を高いものにしてあらかじめ浸透圧を高めておくとか
冬越しに難のある植物を育てている場合には同様に秋口からの肥料は
カリウムの割合を高いものにしておくことは一定の暑さ・寒さ対策になります。

カリウムは光合成による糖(デンプン)の合成・移動・蓄積に必要不可欠!

カリウムは光合成による糖(デンプン)の合成・移動・蓄積に関与しています。
イモ類などではカリウムが不足しているとデンプンの蓄積がままならないため、
実が太らない傾向が強いです。

また、糖から細胞壁の材料となるセルロースなどを合成する際にもカリウムが関与し
植物の細胞組織の強化にも役立っています。

カリウムはタンパク質の合成に必要不可欠!

植物は根から主に無機態窒素(硝酸態窒素、アンモニア態窒素)を吸収しています。
植物体内でそれらをアミノ酸やたんぱく質に合成していくのですが
カリウムはここでも必要不可欠な要素です。

つまり、いくら窒素肥料を与えたからといってカリウムが不足していては
アミノ酸やたんぱく質への合成が滞ってしまいます。

生育の初期段階においても窒素と同じ割合のカリウムは施しておくべきでしょう。

カリウム過剰の症状と欠乏の症状

カリウム(K)が植物にとって重要な働きをしていることは書きました。
しかし、過剰に与え過ぎても少な過ぎても悪影響は出ます。

カリウム過剰の症状

カリウム(K)はマグネシウム(Mg)やカルシウム(Ca)などと拮抗作用があります。
カリウムを過剰に与えるとマグネシウムやカルシウムが吸収されなくなるため
マグネシウム欠乏、カルシウム欠乏などの症状が現れます。

マグネシウムを十分に与えているのにクロロシスが発生するとか、
カルシウム(石灰)を施しているのにトマトの尻腐れ病が発生するなどの場合には
カリウム過剰が原因かもしれません。

土壌の塩基バランス(カルシウム・マグネシウム・カリウム)の割合は
カルシウム5:マグネシウム2:カリウム1が良いとされています。

カリ肥料は元肥でいっぺんに与えると塩基バランスを崩す原因になるので
生育中期~後期にかけてこまめに追肥をするほうが良いです。

カリウム欠乏の症状

カリウム欠乏は主に古い葉に現れます。

葉の縁が黄色く変色するのが主な初期症状で、いずれ葉が枯れます。
窒素過多によってカリウム欠乏の症状が出やすくなるので
生育初期(栄養成長期)であっても窒素と同じ割合でカリウムは与えるべきでしょう。

カリウム肥料の与え方

カリウムは一度に過剰施肥すると他の栄養素とのバランスが崩れてしまうので
こまめに追肥として与えるのに向いている肥料です。

生育初期には窒素と同割合で与えていればOK。
生育中期~後期にかけての生殖成長期(花や実を付ける時期)には
カリウムの割合が高めの肥料を追肥していくのがおすすめです。

また、生育不良の時にはカリウム不足に陥っていることが少なくないため
何となく植物に元気が無いなぁ…と言う時には
窒素控えめでカリウム多めの肥料を薄く与えることは効果的です。

園芸関係の肥料でおすすめなのが「微粉ハイポネックス」。

窒素・リン酸・カリが6.5ー6-19で含まれていてカリウムの割合が高い肥料です。
その他の微量要素も含んでいる即効性の肥料なので
生育不良時や日照不足時などにはとても重宝する肥料です。

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