カニガラ(カニ殻肥料)の使い方 ~効果や使用量の目安は?~

カニガラ(カニ殻肥料)の使い方~効果や使用量の目安は?~ カニ殻(カニガラ)

バラ愛好家などから注目を集めている資材、カニガラ(カニ殻肥料)。

カニの甲羅や足などを乾燥・粉砕したもので
まきやすいようにペレット化した製品もあります。

では、カニガラ(カニ殻肥料)をどのように使えばより効果的なのか、
成分や特性、使用量の目安などから考えていきましょう。

カニガラ(カニ殻肥料)の成分

カニガラの主な肥料成分

窒素( N )…3~5%
リン酸( P )…2~3%

カニガラの主な肥料成分は窒素( N )とリン酸( P )であり、
カリウムはほとんど含まれていません。
カニガラの肥料成分だけでは偏りがあるので
他の資材・肥料と合わせて使う必要があります。

また、カニガラに含まれている窒素はゆっくりと分解されていきます。
一ヶ月で約30%、二ヶ月で約50%が無機化し、植物が利用できます。

良く言えば「じっくりと効き目が長続きする有機肥料」。
悪く言えば「だらだらと肥効が切れず効果が読みづらい肥料」。

個人的には“肥料”としては扱いづらいなぁ…と感じています。
初期生育が重要な葉物野菜などの肥料には不向きで
肥料効果が期待できるくらい多くの量を投入すると肥効のコントロールができなくなる。
(肥効が切れて欲しい時にもだらだら効いてしまう)

肥料としては、他の有機肥料なり化成肥料なりをメインに据えて
その補助資材としてカニガラを使うのがベターでしょう。

そんな扱いづらいカニガラが注目されている理由は肥料効果ではありません。
他の資材には無い素晴らしい特性があるからなんです。

カニガラのその他注目成分

キチン質

カニガラにはキチン質という繊維状の多糖類の一種が豊富に含まれています。
このキチン質は土壌微生物の一種である放線菌が好む物質で、
キチン質を豊富に含むカニガラを投入すると放線菌が増殖します。

放線菌が増殖すると…?

増殖した放線菌がフザリウム菌やセンチュウなどの害を抑制する!

土壌病害の原因となるフザリウム菌の細胞壁には
放線菌のエサとなるキチン質が含まれています。

土壌に放線菌が増えるとキチン質を溶かすキチナーゼという酵素によって
フザリウムは食べられて(溶かされて)その数を減らしてしまうので、
結果的に土壌病害の抑制につながります。

また、放線菌は抗生物質を生産するので
放線菌優位の土壌では病害が起こりづらくなります。

根に寄生して根腐れや生育不良を引き起こす
センチュウ(線虫・ネマトーダ)も同様にキチン質を含んでいるため
放線菌優位の土壌ではその数を減らします。

カニガラが土壌病害の抑制に効果的なのは上記の理由からです。
ではどれくらい使用(施用)すれば効果が出るのでしょうか?

カニガラの使用量(施用量)の目安は?

カニガラ一回の施用で土壌病害に対して効果を出そうとすると、
1平方メートルあたり1kg程度必要になります。

しかし、これはあまり現実的ではありません。

カニガラの大量投入は窒素過多が懸念される

カニガラには窒素成分が3~5%含まれています。
カニガラの肥効率(無機化率)は二ヶ月で約50%ですから、
仮に窒素4%含有のカニガラを1kg施用すると…

1kg×0.04(窒素含有率)×0.5(肥効率)=20g

1平方メートルあたり約20gの窒素はかなり多いです。※育てる植物にもよりますが。
しかも、先ほども書いた通りカニガラはやや肥料成分に偏りがあるため
他の肥料も与えることになります。

そうなると、ほぼ間違いなく窒素過多になります。

1㎡あたり100g~500gが目安か?

カニガラに含まれる窒素のことを考えると
1平方メートル当たりに投入できるのは500gくらいが限度でしょう。
その他に与える肥料を考慮すると100g~500gが投入の目安となります。

投入量が少ない場合は土壌病害の抑制効果はあまり期待できません。

しかし、カニガラを大量に投入して土壌病害が収まったとしても
窒素過多で過繁茂になったり飛来害虫の餌食になっては意味がありません。

カニガラは連用が効果的なので定期的にパラパラまくのもアリ

カニガラは一度の施用で効果があまり出なくても
連用することによって少しずつ効果を発揮してくれる資材です。

植物に対しての「肥料」
土壌病害に対しての「農薬」に似た効果を期待するのでは無く、
放線菌優位の土壌を作るための「微生物のエサ」として
定期的に少量を散布するのもアリでしょう。

カニガラ(カニ殻肥料)の使い方まとめ

ある程度の肥料効果と土壌病害抑制効果を
期待するのであれば1平方メートルあたり100g~500gを
他の肥料や堆肥とのバランスを見ながら施用する。
「土壌微生物のエサ」と割り切って
少量を定期的にパラパラと散布する。

カニガラの使い方としてはこの2パターンかな、と。
個人的な考えは後者に近く、カニガラはあくまでも
「土壌微生物のエサ」として考えています。
放線菌優位の土壌を作り、維持していくために
カニガラはとても有効な資材だと考えています。

カニガラ粉末20kg
家庭菜園などでたっぷり使いたい方は20kgの大袋がオススメ。

カニガラ粉末1.5kg
プランター菜園やベランダガーデニングの方は1.5kgくらいが使いやすいサイズです。

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