発酵鶏糞の使い方 ~成分や施肥量の目安は?~

発酵鶏糞の使い方~成分や施肥量の目安は?~ 発酵鶏糞

発酵鶏糞は、ニワトリの糞(鶏ふん)を発酵・乾燥させたものを指します。
牛糞堆肥や馬糞堆肥などは土壌改良資材として主に使われていますが、
発酵鶏糞はより肥料成分が多く含まれている上に価格的にも安価なので
有機肥料として家庭菜園やガーデニングなどで使われています。

一方で発酵鶏糞や臭いがキツかったり、使い方によっては植物に害を与えかねないため
やや扱いづらい印象を持っている方もいます。

発酵鶏糞をどのように使えば良いか、
成分や施肥量の目安を踏まえて考えていきましょう。

発酵鶏糞の成分は?

発酵鶏糞の主な成分は

窒素( N )…2~4%
リン酸( P )…4~6%
カリウム( K )…2~3%
カルシウム( Ca )…10~15%
マグネシウム( Mg )…1~2%

発酵鶏糞に含まれる窒素( N )について

発酵鶏糞には2~4%の窒素が含まれています。
※ニワトリに与えるエサや副資材によって成分は異なります。

この窒素は未消化のエサや尿素由来で、発酵・乾燥の工程を経て
有機態窒素およびアンモニア態窒素が含まれています。
即効性があり、気温(地温)が高ければほぼ化成肥料なみの肥効を示します。

発酵鶏糞の窒素肥効率は約60%

発酵鶏糞に含まれている窒素は、その全てを植物が利用できるわけではありません。
化成肥料に含まれている窒素を100として、
発酵鶏糞に含まれている窒素を植物が利用できる割合(肥効率)は約60%です。

発酵鶏糞に含まれる窒素は約1ヶ月でほとんど効果が切れる

発酵鶏糞は投入後約1ヶ月でほぼ無機化され、
その後はほとんど無機化が進みません。
よって、中長期の肥効はあまり期待できません。

発酵鶏糞の元肥での施用は種まき・植え付けの一週間くらい前に行うこと

発酵鶏糞はアンモニア態窒素を多く含んでいるので
施用してすぐに種まきや植え付けをすると
アンモニア過剰で植物がダメージを受けることがあります。
発酵鶏糞を元肥として施用したら
一週間程度間隔を空けてから種まき・植え付けをしましょう。

発酵鶏糞の追肥での施用は株元から離れたところに

発酵鶏糞を株元に施肥すると葉焼けなどの原因になることがあります。
追肥として施用する場合は株元から少し離れたところに与えましょう。

発酵鶏糞に含まれるリン酸( P )について

発酵鶏糞には4~6%のリン酸が含まれています。
これは主にエサとして与えられるリン酸カルシウム由来のもので、
ほぼ植物が利用できる可給態リン酸です。

発酵鶏糞のリン酸肥効率は約80%

発酵鶏糞に含まれるリン酸は主にリン酸カルシウムです。
エサの穀物由来のフィチン態リン酸は植物が利用しづらいのですが、
割合はそれほど多くはありません。
よって、発酵鶏糞のリン酸の肥効率は約80%と
化成肥料なみの効果が見込めます。

発酵鶏糞に含まれるカリウム( K )について

発酵鶏糞には2~3%のカリウムが含まれています。
カリウムは無機態として存在しているので植物が速やかに利用できます。

発酵鶏糞のカリウム肥効率はほぼ100%

発酵鶏糞に含まれるカリウムはほぼ化成肥料と同等の肥効を示します。

発酵鶏糞に含まれるカルシウム( Ca )について

発酵鶏糞には約10%~15%のカルシウム(石灰)が含まれています。
これは主にエサとして与えられるリン酸カルシウムや炭酸カルシウム由来で、
特に採卵鶏に多く与えられています。

発酵鶏糞を連用する場合には苦土石灰等の利用は控えること

発酵鶏糞には多くのカルシウム(石灰)が含まれています。
土壌の酸度調整(pH調整)で苦土石灰などの資材を使って、
さらに肥料として発酵鶏糞を施しているとカルシウム過多になる恐れがあります。

発酵鶏糞を肥料として与える場合にはphを見ながら石灰の投入量を抑えたり
もしくは使用しないようにするなど注意が必要です。

※土壌がアルカリに傾き過ぎると植物が微量要素(ミネラル)を吸収しづらくなります。

発酵鶏糞に含まれるマグネシウム( Mg )について

発酵鶏糞には約1%~2%のマグネシウム(苦土)が含まれています。
マグネシウムは葉緑素を構成する重要な要素で、
カルシウムやカリウムと拮抗作用があります。

発酵鶏糞には多くのカルシウムとカリウムが含まれているため、
長期間連用した場合はマグネシウム不足になる可能性があります。

硫酸マグネシウムを施したり、
比較的マグネシウムが豊富に含まれている米ぬかを上振りするなどして
バランスを取っておきたいですね。

発酵鶏糞の施用量の目安は?

発酵鶏糞を元肥として使用する場合の施肥量は?

発酵鶏糞は1平方メートル当たり200g~500gが使用量の目安です。
発酵鶏糞の肥効率は約60%なので、

窒素含有率2%の発酵鶏糞の場合
200g(施肥量)×0.02(窒素含有率)×0.6(肥効率)=2.4g
500g(施肥量)×0.02(窒素含有率)×0.6(肥効率)=6g
1平方メートル当たり2.4g~6gの窒素補給になります。窒素含有率3%の発酵鶏糞の場合
200g(施肥量)×0.03(窒素含有率)×0.6(肥効率)=3.6g
500g(施肥量)×0.03(窒素含有率)×0.6(肥効率)=9g
1平方メートル当たり3.6g~9gの窒素補給になります。窒素含有率4%の発酵鶏糞の場合
200g(施肥量)×0.04(窒素含有率)×0.6(肥効率)=4.8g
500g(施肥量)×0.04(窒素含有率)×0.6(肥効率)=12g
1平方メートル当たり4.8g~12gの窒素補給になります。

こうやって見ると窒素含有率2%の発酵鶏糞より4%のものの方がお得な気がしますが、
発酵鶏糞において窒素含有率が高いと言うことは
アンモニアの揮発・分解が進んでいないと言うこと。
すなわち未熟な発酵鶏糞という可能性がありますので、
アンモニアの過剰害に注意が必要かもしれません。

いずれにしても、種まき・植え付けの一週間ほど前には
土と良く混ぜ合わせて馴染ませておきましょう。

発酵鶏糞を追肥として使用する場合の施肥量は?

発酵鶏糞は1平方メートル当たり100g~200gが使用量の目安です。
発酵鶏糞の肥効率は約60%なので、

窒素含有率2%の発酵鶏糞の場合
100g(施肥量)×0.02(窒素含有率)×0.6(肥効率)=1.2g
200g(施肥量)×0.02(窒素含有率)×0.6(肥効率)=2.4g
1平方メートル当たり1.2g~2.4gの窒素補給になります。窒素含有率3%の発酵鶏糞の場合
100g(施肥量)×0.03(窒素含有率)×0.6(肥効率)=1.8g
200g(施肥量)×0.03(窒素含有率)×0.6(肥効率)=3.6g
1平方メートル当たり1.8g~3.6gの窒素補給になります。窒素含有率4%の発酵鶏糞の場合
100g(施肥量)×0.04(窒素含有率)×0.6(肥効率)=2.4g
200g(施肥量)×0.04(窒素含有率)×0.6(肥効率)=4.8g
1平方メートル当たり2.4g~4.8gの窒素補給になります。

植物の株元近くに与えるとアンモニアによって
葉焼けなどの害が出る可能性があるので、
株元から少し離れたところに施肥しましょう。

発酵鶏糞の使い方まとめ

長々と発酵鶏糞について書いてきましたが、使い方をまとめてみると…

・元肥として使用する場合は、
1平方メートル当たり200g~500gを
種まきや植え付けの一週間前に施用し
土と良く混ぜ合わせて馴染ませておくこと。

・追肥として使用する場合は、
1平方メートルあたり100g~200gを
株元から少し離れたところに施すこと。

・即効性はあるが効果は1ヶ月でほぼ切れる

・カルシウム(石灰)を多く含んでいるため
石灰資材の投入量を抑えるもしくは併用しないこと

発酵鶏糞は上手に使えば安価で効果の高い有機肥料です。
ぜひ使いこなして家庭菜園やガーデニングを楽しみましょう!

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