牛糞堆肥は低濃度のリンカリ肥料(腐植入り)だと考える

牛糞堆肥は低濃度のリンカリ肥料(腐植入り)だと考える 牛糞堆肥

家庭菜園やガーデニングの土壌改良資材としておなじみの牛糞堆肥ですが、
大量に投入するのは少し考えものです。

なぜなら…

牛糞堆肥のリン酸・カリウムは化成肥料並の肥効を示す!

牛糞堆肥の成分は一般的に

窒素 約1%
リン酸 約2%
カリウム 約2%

副資材によって成分は変わりますが、この程度です。

しかし、この全てを植物が利用できるわけではありません。

牛糞堆肥の肥効率は

窒素 約30%
リン酸 約80%
カリウム 約90%

化成肥料と比べると、窒素は投入した量の3分の1程度しか効きません。
一方でリン酸とカリウムはほぼ化成肥料並みの肥効を示します。

1平方メートルあたり3kgの牛糞堆肥を投入した場合

窒素 3kg×1%(成分割合)×0.3(肥効率)=10g
リン酸 3kg×2%(成分割合)×0.8(肥効率)=48g
カリウム 3kg×2%(成分割合)×0.9(肥効率)=54g

このように見ると、窒素はほぼ問題無いとしても
明らかにリン酸過剰、カリウム過剰になります。

リン酸過剰だとどうなる?

リン酸は過剰害が出にくいと言われていますが
雨や水やりなどで流亡しづらいので年々蓄積されていきます。
いずれは亜鉛欠乏やその他微量要素の欠乏などの症状が出始める可能性が高い。

カリウム過剰だとどうなる?

カリウムは植物に”ぜいたく吸収”と言って
あればある分だけ吸収されてしまうので
土壌改良資材として一度に多く投入すると過剰害が出やすくなります。
拮抗作用のあるカルシウムやマグネシウムが
土壌に十分にあったとしてもカリ過剰によって吸収できなくなってしまいます。

家庭菜園で苦土石灰を施しているのにトマトの尻腐れ病が発生するとか、
クロロシスの症状が出るなどの場合はカリ過剰なのかもしれません。

牛糞堆肥の使用量は1平方メートルあたり1kgが限度か?

1平方メートルあたり1kgの牛糞堆肥を投入した場合

窒素 1kg×1%(成分割合)×0.3(肥効率)=3.3g
リン酸 1kg×2%(成分割合)×0.8(肥効率)=16g
カリウム 1kg×2%(成分割合)×0.9(肥効率)=18g

この程度であれば許容量だとは思いますが、
牛糞堆肥とは別に肥料を与える訳ですからこれでもリンカリは過剰気味です。

そもそも土壌改良で堆肥を施す大きな理由は

・通気性(水はけ)や保水性の向上
・腐植の増加による地力向上

これらが主な目的です。
牛糞堆肥は上記の土壌改良効果を期待できる上に
肥料効果もあるため重宝されているという訳です…が、
長々と書いてきたように土壌改良資材として一度に多用するのは
デメリットの方が多くなってきます。

…ではどうする?

牛糞堆肥はリンカリ肥料と考えよう!

牛糞堆肥は窒素の肥効はほぼ期待できませんが、
リン酸やカリウムにおいてはほぼ化成肥料並みの肥効を示します。

特にカリウムにおいては栽培中期~後期にかけて
安定して効いていると植物の花付きや実の付きが良くなるなどの
効果が期待できます。

牛糞堆肥は「堆肥」として一度にドカッと与えるのではなく、
「リンカリ肥料」と考えて栽培中期以降に
こまめに追肥していく方が良いでしょう。

・花付きが良くなる
・花が大きくキレイに咲く
・実がたくさん生る
・実が大きく美味しくなる

栽培者にとって嬉しい効果が期待できて、
しかもリンカリ肥料と考えると超格安!な資材です。

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