「バラは肥料食い」と良く言われます。
確かに大輪の花を株一杯に咲かせるのには多くのエネルギーと
それなりの肥料成分が必要になります。
では、肥料を与え過ぎた場合はどうなるのでしょうか?
やはり肥料の与え過ぎはNG!考えられる悪影響は…
バラは肥料食い、という言葉を信じて
たくさんの肥料を与えている方には残念なお知らせですが
やはり肥料の与え過ぎは良くありません。
保肥力を超える肥料成分は無駄になる
鉢植えの場合でも地植えの場合でも、
バラを植え付ける用土には「保肥力」が備わっています。
保肥力、すなわち肥料を保つチカラです。
用土の保肥力を超える肥料成分は
雨や水やりによって流亡してしまうか、
土壌溶液に過剰に染み出して植物の生育に悪影響を与えます。
つまり、肥料のやり過ぎはお金のムダ、
なおかつ薔薇にダメージを与えているということです…。
肥料のやりすぎによる悪影響①バラが水を吸い上げづらくなる
肥料の与え過ぎによってバラが最もダメージを受けるのは
水を吸い上げづらくなることです。
まず、保肥力を上回る肥料成分は
土壌溶液に染み出しその浸透圧を高めます。
※塩辛い海水をイメージしてみて下さい
土壌溶液の浸透圧と根の吸水に
どのような関係があるかというと…
植物は根の細胞の浸透圧を高めることで水を吸い上げている
植物の根は細胞の浸透圧を
周囲の土壌溶液の浸透圧より高めることによって
水を吸い上げています。
そして根の細胞が吸い上げた水を
葉の蒸散作用によって全体に行き渡らせています。
土壌溶液の浸透圧が高くなると
根の細胞が水を吸い上げることができなくなってしまうのです。
水を吸えなくなるとバラは致命的なダメージを…
言うまでもなく水は植物にとって最も重要な物質です。
肥料が効く効かないのレベルではありません…。
光合成能の低下やさまざまな生理障害、
最悪の場合は「枯死」、枯れます。
だから、肥料のやりすぎはダメ、ゼッタイ。
肥料のやり過ぎによる悪影響②病害虫の被害が増える
肥料を過剰に与えると病害虫の被害が増えることは
体験的に良く知られています。
過剰なアミノ酸などが病原菌や害虫を引き寄せる
植物は根から肥料成分を吸収すると
体内でアミノ酸などを合成します。
過剰に合成されたアミノ酸は病原菌のエサになったり
害虫を引き寄せる原因になります。
春先にバラの新芽や蕾にたくさんのアブラムシが
群がっているのを見たことがあると思います。
これも過剰なアミノ酸が主な原因です。
窒素肥料の過剰で植物が軟弱に育つ
肥料の主要成分の窒素は主に硝酸態窒素
もしくはアンモニア態窒素として根から吸収されます。
アンモニア態窒素は植物にとっては有害なので、
光合成によって得たエネルギーを利用して
アミノ酸やタンパク質を合成し無害化します。
過剰な肥料成分は過剰なアンモニア態窒素を蓄積させるので
結果として多くの光合成産物がアンモニア態窒素の無害化に使われ
細胞壁の材料になる多糖類の生産性が低下します。
軟弱に育った植物は更に病害虫の被害に遭いやすくなります。
肥料の適切な量と与える時期は?
肥料のやりすぎが薔薇に悪影響を与えることは
上に書いた通りです。
では、適切な量を与えるのはどうすれば良いのでしょうか?
肥料袋に書いてある量と時期を守るのが基本
肥料はビニール袋もしくは紙製の袋に入っています。
その肥料袋には施肥量の目安が記載してあるはずです。
(1株あたり何グラムとか1平方メートルあたり何グラムとか)
肥料の製造者は植物の生育試験を経て
商品化させている(はず)なので、
基本的にはそれを守りましょう。
元肥をどっさりと与えるよりは生育期に少量をこまめに
肥料袋にある施肥量の目安をふまえた上で、
バラの生育期である3月~6月、9月~11月に
肥料を与えます。
バラ栽培の慣習として冬に元肥をどっさり…
と言うのがありますが、あまりおすすめできません。
理由はすでに上に書きましたね。
一度にたくさんの肥料を与えるよりは
同じ量を与えるとしても何回かに分けてこまめに与えましょう。
ちなみに梅雨明けしたら9月まで肥料は与えない、
もしくは薄めの液肥を与える程度にしましょう。
土作りで保肥力を高めることも大事
バラを植え付ける用土に保肥力があれば
与えた肥料も無駄にならず、
肥料をやり過ぎてしまったとしても
バラへの悪影響は少なくなります。
水はけや通気性が悪化しないように気を付けて
保肥力の高い用土を目指しましょう。
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