カニ殻(カニガラ)は肥料として有効か?

カニ殻(カニガラ)は肥料として有効か?その効果とメリット・デメリット カニ殻(カニガラ)

カニ殻(カニガラ)は肥料として有効か?その効果とメリット・デメリット

突然ですが、先日食べた毛蟹の殻です(汗)。

カニの甲羅や足の身を取り除いた部分を洗い流し、
乾燥・粉砕されたカニガラは有機質肥料として販売されています。

園芸の分野でもバラ栽培にカニガラを取り入れている方が多かったり、
何かと話題にのぼることも多いカニ殻。
その効果とメリット・デメリットについてまとめてみました。

カニ殻(カニガラ)肥料の効果

放線菌が活性化し土壌病害やセンチュウの被害を抑制する!

カニ殻(カニガラ)には「キチン質」が多く含まれていて、
カニガラを肥料として投入するとキチン質を好む放線菌が増えます。

放線菌はキチン質を分解する酵素「キチナーゼ」を分泌します。

キチン質は土壌病害の原因菌である糸状菌の細胞壁の主成分でもあるため、
キチナーゼによって細胞壁を破壊されてしまった糸状菌はその数を減らすことになります。

結果的に、土壌病害やセンチュウの被害を抑制することに繋がります。

アスタキサンチンが花や実、葉の色艶を良くする!

カニガラに豊富に含まれるカロテノイド色素「アスタキサンチン」が
花や実、葉の色つやを良くすると言われています。
特にピンクや赤系の花色のバラなどには効果的。

カニガラ肥料のメリット

カニガラ肥料のメリットは、土壌微生物の多様化を促す緩効性肥料だと言うことです。
カニガラに含まれるキチン質は昆虫などにも多く含まれているのですが、
農薬の散布などにより昆虫の数が減り土に還るキチン質も減少しています。

それによってキチン質をエサとする放線菌が減り、土壌微生物のバランスが崩れ
土壌病害やセンチュウの被害となって目に見える形であらわれているとも言えます。

土壌微生物相を整える効果、と言うのは他の有機質肥料には見出せないので
カニガラを取り入れるメリットは大きいと思います。

カニガラ肥料のデメリット

カニガラ肥料は…

…臭いです。

住宅地でのガーデニングに使用するにはやや気が引けます。
放線菌を増やす効果を狙うのであれば土壌表面への施用もしくは
ごく浅く混和させる必要があるので(放線菌は好気性菌のため)、
臭いの問題は避けて通れません。

カニガラのニオイが気にならない環境下でなら良いのですが、
住宅地やマンションのベランダでのガーデニングの場合には
周囲への配慮が必要な肥料ですね。

コメント

  1. アシマキ より:

    はじめまして。
    いつも土壌改良や肥料についての記事を楽しみにしています。

    カニガラについて土壌微生物相に与える影響についてご意見を伺いたくてコメントさせていただきました。

    カニガラが放線菌を増やす効果に関して、
    バーク堆肥と合わせて施用した場合、
    堆肥化の過程でセルロース分解を担った放線菌が残存することを期待して、相乗効果を狙えると思われますか?
    やはり、完熟堆肥の商品の場合は放線菌も死滅しているのでしょうか。

  2. 富永俊介 より:

    アシマキさん

    コメントありがとうございます。
    カニガラとバーク堆肥を併用した際に相乗効果があるか?
    というご質問ですが、実際に併用して効果を測定したわけでは無いので
    相乗効果があるか、と言うことに対して明確な返答はできません。
    あくまでも推測で、と言うことになりますが私の見解を書きます。

    放線菌はご存じの通り高温性の好気性菌で、
    堆肥化においてはヘミセルロースの分解に関与しています。
    放線菌がヘミセルロースを分解し、セルロースをむき出しにします。
    また放線菌が呼吸し増殖することで周辺の酸素を奪い嫌気状態にします。
    それによって嫌気性のセルロース分解菌が活性化しセルロース分解が進みます。
    そして、その後のリグニン分解期へと進んでいくわけです。

    放線菌はエサであるヘミセルロースが分解されて無くなると
    胞子を作って休眠します。よって完熟堆肥だからと言って
    放線菌が死滅してしまっているわけではありません。
    栄養状態が良くなれば再び放線菌は活性化します。

    バーク堆肥の完熟品の場合はもちろんヘミセルロースは分解されているので
    放線菌が関与している=放線菌が含まれているはすです。
    カニガラを投入することでバーク堆肥に含まれる放線菌が
    活性化することは十分に考えられます。

    また、バーク堆肥の物理性改善効果によって土壌が好気的になれば
    好気性菌である放線菌が土壌内に生息しやすくなる効果も見込めます。

    相乗効果(放線菌を殖やす効果)がどこまであるかは分かりませんが、
    土壌の微生物相を整える意味ではバーク堆肥もカニガラも
    有効な資材だと思います。

    ただし、カニガラは窒素・リン酸ともに4%程度含まれているので
    過剰投入は避けるべきだと思います。
    施用量の目安は鉢植えであれば約5%程度、露地植えのバラであれば
    1株あたり約100g程度、土壌改良に用いるのであれば
    1坪あたり約300g程度を目安にして下さい。

  3. アシマキ より:

    ありがとうございます。
    早速、放置されていた花壇の土づくりに利用してみます。

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