バラは生育期間を通じて病害虫の被害に遭いやすい植物です。
黒点病(黒星病:Black spot)は数ある病害の中でも最も知られているバラの病気で、
地植えで育てているバラの場合、
対策を施さなければ被害を避けられないと言っても過言ではありません。
ここでは黒点病(黒星病)の症状と発生条件(発生原因)と
予防方法や治療方法などを紹介します。
バラの黒点病(黒星病)の症状
黒点病の初期症状:葉に黒いシミが…
バラの黒点病(黒星病)の症状は主に葉に黒褐色の病斑ができます。
上の写真は黒点病の初期症状。
葉に黒いシミが見えますね。
黒点病が進行すると葉が黄変し、落葉する。
やがて病斑が広がっていき、
最終的には葉が黄変して落葉します。
症状が出やすいのは株元に近い葉で、
新芽や比較的若い葉は黒点病に罹りづらいです。
バラの葉の表面にはクチクラ層と言われる保護膜があり、
若い葉はこのクチクラ層が水を弾くため葉が濡れづらく
黒点病の原因菌が侵入しづらいのですが、
降雨や紫外線にさらされ続けたことでクチクラ層が劣化もしくは破壊された
株元の古い葉の場合は水を弾かないので長時間葉が濡れた状態が続きます。
そうなると黒点病の原因菌が侵入し、増殖することで病斑となってあらわれます。
ちなみに、黒点病の症状があらわれた葉は農薬を散布して
一時的に進行が止まったとしても元に戻ることはありません。
速やかに取り除くのがベターです。
バラの黒点病(黒星病)の発生条件(発生原因)
黒点病の原因となるのは糸状菌(カビ)の一種です。
黒点病の発生条件をまとめてみると…
・葉が濡れた状態が続く(5~7時間)
・風通しが悪い
この条件が当てはまる場合には黒星病が発生しやすい環境だと言えます。
黒点病が発生しやすい気温
黒点病が発生しやすい気温は18℃~26℃です。
一番花が終わった頃から梅雨にかけて、
そして秋の長雨の時期がこの気温に該当します。
特に一番花が咲き終わって株が消耗しているタイミングで黒点病に感染すると
梅雨時期に一気に蔓延する可能性が高いです。
濡れっぱなしの葉は黒点病に感染しやすい
雨などで葉が長時間濡れっぱなしになると黒点病の原因菌に感染しやすくなります。
雨が直接当たる地植えのバラは気温を含めて条件に当てはまりやすく、
特に梅雨と秋の長雨の時期は黒点病が発生・蔓延しやすくなります。
一方でマンションのベランダなど雨の当たらない場所で育てられている鉢植えのバラは、
葉が濡れた状態が長く続くことが無いため黒点病に罹りづらい傾向があります。
バラの黒点病の予防方法
バラの黒点病(黒星病)を予防する最も効果的な方法は、
雨の当たらない場所で育てること。
バラの葉が黒点病に感染するためには
長時間葉が濡れた状態が続くことが必要なので、
雨の当たらない軒下やベランダで育てていれば
葉が濡れることが無く黒点病の原因菌に感染することを防げます。
また、水遣りの際に葉に水がかからないようにすることも重要です。
雨に濡れる環境にあるバラの黒点病予防はどうする?
雨の当たらない場所でバラを育てれば黒点病に罹りづらくなりますが、
そもそもそんな場所(日当たりが良いのに雨が当たらない場所)が無かったり、
すでに雨に当たる環境下で薔薇を育てている場合はどうすれば良いのでしょうか?
一番効果的なのは、定期的な薬剤散布です。
農薬の散布に抵抗のある方も多いと思いますが、
雨の当たる環境下で黒点病を完全に防ぐのは無農薬では…無理です。
症状が出始める前からの定期的な薬剤散布(予防散布)をすることで
黒点病の原因菌からバラを守り、梅雨の時期でも蔓延を防ぐことができます。
バラの黒点病(黒星病)の予防薬
バラの黒点病(黒星病)の予防に役立つ薬剤をいくつか挙げてみます。
系統の違う薬剤をローテーション散布することによって
黒点病の原因菌が薬剤耐性を持ちづらくなるのでいくつか揃えておくと便利です。
有機銅殺菌剤でバラの黒点病、うどん粉病、灰色かび病に効果があります。
また、アブラムシやハダニなどの害虫の気門を塞ぐ物理的な殺虫効果もあるので
バラ栽培の病害虫対策のベースになる薬剤です。年間使用回数8回以内。
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有機塩素系の殺菌剤でバラの黒点病、うどん粉病に効果があります。
高温期に散布すると薬害が発生するため、
気温が25℃以上になる日の散布は避けた方が良いです。年間使用回数6回以内。
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有機塩素系の殺菌剤でバラの黒点病予防に効果的です。
同じ有機塩素系のダコニールは夏場の高温期に散布すると薬害が出ますが
オーソサイドはその心配が無いためダコニールの代替として便利な薬剤です。
年間使用回数8回以内。
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黒点病を蔓延させないためには、風通しの良さも重要なポイント
黒点病が蔓延して葉がほとんど無い状態になると
光合成が十分にできずバラの成長に必要なエネルギーが不足して
生育不良に陥ってしまいます。
黒点病を蔓延させないためには風通しの良さも重要なポイントです。
株間をしっかりと開けたり混み合った枝を整理(剪定・切り戻し)することで
風通しの良い状態にしておくと、葉が乾きやすくなり黒点病予防になるだけでなく
黒点病が蔓延しづらい環境にもなります。
バラの黒点病(黒星病)の治療方法
黒点病が発生してしまったら、どのように対処したらよいのでしょうか?
バラの黒点病(黒星病)の治療薬
バラの黒点病の治療に効果がある薬剤をいくつか挙げてみます。
ベンゾイミダゾール系の殺菌剤でバラの黒点病、うどん粉病の
予防と治療に効果があります。
薬剤の成分が葉の中に浸透し既に侵入した病原菌を退治するので
その後の病気の蔓延を防止します。年間使用回数5回以内。
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EBI系の殺菌剤でバラの黒点病やうどん粉病の予防と治療に効果があります。
薬剤の成分が葉の中に浸透し既に侵入した病原菌を殺菌するので
その後の病気の蔓延を防止します。
高温期に散布すると薬害が発生する恐れがあるため夏場の散布は避けましょう。
年間使用回数5回以内。
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黒点病の治療薬として販売されている薬剤を散布した場合、
それ以上の被害の拡大を防ぐことはできますが
病変した葉を元に戻すことはできません。
病変した葉は速やかに取り去って処分しましょう。
黒点病が原因でバラが枯れることは無いので焦らず対処を!
黒点病に感染した葉の落葉は避けられませんが、
葉っぱが落ちた程度でバラが枯れてしまうことはありません。
むしろ、葉が少なくなったことで回復を焦って
肥料をたくさん与え過ぎてしまうなど
その後のケアに問題があると、そちらの方がバラにはダメージとなります。
しばらくすれば新しい葉が展開してくるはずなので、
焦らずにケアしていきましょう。
まずは病変した葉を取り除きます。
その際に混み合っている枝や細い枝などは切り戻して風通しを良くします。
鉢植えであれば雨の当たらない軒下に移動させます。
葉が無い状態で通常どおりの肥料を与えていると
株に負担がかかるのでなるべく取り除きます。
水切れ、過湿はともに大きな負担となります。
通気性の良い用土に植え付けてある場合はとにかくたっぷり水やりをします。
保水性が高く水はけ・通気性の悪い土の場合は根腐れに注意が必要です。
新たな葉が展開し始めたら薄めの液肥を与えて様子を見ていきましょう。
黒点病に強い品種は?
黒点病(黒星病)に強い品種を育てるのも選択肢の一つです。
GarDeco Japanでは無農薬でバラを育てていますが、
その中で黒点病に強いと実感できたバラを紹介します(随時追加していきます)。
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