堆肥の使い方!~堆肥の種類やそれぞれの効果を解説します~

堆肥の使い方!~堆肥の種類やそれぞれの効果を解説します~ 堆肥・有機物

堆肥はガーデニングや家庭菜園をする上で欠かせない資材です。
多くの方が牛糞堆肥やバーク堆肥などを土に混ぜ込んで使っていると思いますが、
ではなぜ堆肥を使うのでしょうか?

堆肥の使用目的を踏まえた上で
堆肥の種類とそれぞれの効果、使い方について解説していきます。

なぜ堆肥を使うのか?

ガーデニングや家庭菜園において堆肥を使う目的は主に2つあります。
一つ目は土を植物が育ちやすい状態にする「土壌改良効果」があるため、
二つ目は植物に栄養を与える「肥料効果」があるためです。
それぞれの効果について見てみましょう。

土壌改良効果

土壌に適度なすき間を作る

固くしまった水はけ・通気性の悪い土は植物の根が伸びるすき間がほとんどありません。
また、水はけ・通気性の悪い土は植物の根が呼吸しづらいため生育が悪く、
最悪の場合は根腐れを起こして枯死することもあります。
堆肥を土に混ぜ込むことによって土壌に適度なすき間ができます。
それによって植物の根が伸びやすく、呼吸しやすい環境を整えることができます。

団粒構造を作る

堆肥に含まれる「腐植」は土壌粒子をくっつける糊のような役割をします。
それによって土壌の団粒構造化が促進され、水はけ・通気性が良く
さらに保水性が高い理想的な土壌の状態に近づけることができます。

保肥力を高める(肥料もちを良くする)

堆肥を混ぜ込むことで肥料成分を土壌に留めておく力(保肥力)を高めることができます。
保肥力が高いと肥料の流亡や過剰施肥による濃度障害を軽減するなど
安定して植物が肥料成分を吸収しやすい環境になります。

pHを安定させる

多くの植物は土壌が弱酸性(pH5.5~6.5)の状態だと良く育ちます。
土壌酸度が酸性に傾き過ぎるとアルミニウム障害などが発生しやすくなり、
土壌酸度がアルカリ性に傾き過ぎると植物が微量要素を吸収できなくなります。
いずれの場合も生育不良に陥ります。
堆肥を混ぜ込むことによってpHが安定し、植物が育ちやすい環境になります。

土壌微生物が豊かになる

堆肥ができるまでには多くの微生物が関与しています。
出来上がった堆肥はいわば「微生物の塊(かたまり)」。
堆肥を土に混ぜ込むことで土壌微生物の量や種類が豊富になります。
土壌微生物が豊富になると土壌病害が軽減されたり
団粒構造化が促進されたり、肥料成分を植物が吸収しやすい状態にしたりと
植物を育てる上でとても良い環境となります。

肥料効果

窒素・リン酸・カリなど主要な肥料成分を含む

堆肥には(化学肥料や有機肥料ほどではありませんが)
窒素・リン酸・カリウムなど主要な肥料成分が含まれています。
特に牛糞堆肥や豚糞堆肥、鶏糞堆肥など畜糞系の堆肥は
リン酸・カリウムの肥効が良く肥料の代わりとなります。
※堆肥中の窒素(N)においてはあまり肥効が期待できないため、
硫安や尿素など他の肥料で補う必要があります。

微量要素を含む

堆肥にはマンガンやホウ素、亜鉛などの微量要素が含まれています。
微量要素は植物が多く必要としているわけではありませんが、
不足すると生育に悪影響が出ます。
堆肥を施すことによって微量要素を植物に供給することができます。

生理活性物質を含む

堆肥には植物ホルモンに似た生理活性物質が含まれています。
それによって植物の生長を促進させる効果が期待できます。

堆肥の種類と効果、使い方

堆肥にはいろいろな種類があります。
堆肥を使う目的をふまえた上でそれぞれの堆肥の効果と使い方を見ていきましょう。

バーク堆肥の効果と使い方

バーク堆肥は樹皮(バーク)を堆積・発酵させた植物性の堆肥です。
バーク堆肥の効果と使い方をまとめてみましょう。

バーク堆肥の土壌改良効果

バーク堆肥は土壌の膨潤化(ふかふかにする効果)に優れていて、
地力増進法に基づく政令の土壌改良資材に指定されています。
土壌がふかふかになって適度なすき間ができ、
植物の根が伸びやすく呼吸のしやすい環境を整えることができます。
また、バーク堆肥は腐植に富んでいるため土壌の団粒構造化に効果的で、
さらにその効果が長期間にわたって持続する点においても優れていると言えます。

バーク堆肥の肥料効果

バーク堆肥の肥料効果はあまり期待できません。
特に窒素(N)に関してバーク堆肥では全く補うことができない
(むしろ土壌の窒素を取り込む可能性もある)ので、
バーク堆肥とは別に肥料を与える必要があります。

バーク堆肥の使い方

バーク堆肥は土壌改良効果が高い堆肥なので、
植物を植え込む前に鉢植えの場合なら用土の20~30%を、
地植えの植物や家庭菜園であれば1平方メートルあたり2~3kgを
良く混ぜ込んでおきます。

牛糞堆肥の効果と使い方

牛糞堆肥はウシの糞尿と敷き藁などの副資材を堆積・発酵させたものです。
牛糞堆肥の効果と使い方をまとめてみましょう。

牛糞堆肥の土壌改良効果

牛糞堆肥には植物由来の繊維質(牛の餌の干し草やサイレージ、または敷き藁など)が
多く含まれているため他の畜糞系堆肥に比べて土壌改良効果は高いと言えます。
しかし、牛糞堆肥だけで土壌改良(土作り)をすると
リン酸・カリウムの過剰に陥る可能性があるため大量に投入するのは控え、
バーク堆肥や腐葉土など植物性の堆肥と併用するのがおすすめです。

牛糞堆肥の肥料効果

牛糞堆肥はそれほど多くの肥料成分を含んでいませんが、
リン酸・カリウムについては良く効くので肥料の代わりになります。
窒素に関しては他の肥料(硫安や尿素など)で補う必要があるでしょう。

牛糞堆肥の使い方

牛糞堆肥を土壌改良目的で使うのであれば鉢植えの場合は用土の10%程度を目安に、
地植えの植物および家庭菜園の場合は1平方メートルあたり1kg程度にとどめ
残りはバーク堆肥や腐葉土など植物性堆肥を併用して全体としては2~3kgを
目安に良く混ぜ込んでおきましょう。

リン酸・カリウムの効きが良いので、
植物の生育後期におけるリンカリ肥料として追肥をするのも良いでしょう。

鶏糞堆肥の効果と使い方

鶏糞堆肥(発酵鶏糞)はニワトリの糞尿を発酵・乾燥させたものです。
鶏糞堆肥の効果と使い方をまとめてみましょう。

鶏糞堆肥の土壌改良効果

鶏糞堆肥(発酵鶏糞)は土壌改良効果をほとんど期待できません。
鶏糞堆肥は肥料成分を多く含んでいるため
土壌改良目的で大量に投入すると濃度障害などによって
植物にとっては悪影響となります。
土壌改良はバーク堆肥など他の堆肥で行うようにしましょう。

鶏糞堆肥の肥料効果

鶏糞堆肥(発酵鶏糞)は肥料効果の高い堆肥です。
アンモニア態窒素を含んでいて比較的即効性のある肥料となります。
リン酸・カリウムの効きも良いので肥料として活用するメリットは大きいでしょう。
しかし、石灰(カルシウム)を多く含んでいるため
土壌がアルカリに傾きやすい点には注意が必要です。

鶏糞堆肥の使い方

土壌改良目的では使用しません。
即効性のある肥料として元肥、追肥に使うことができます。
元肥の場合は植え付けの一週間ほど前に土に混ぜ込みます。
使用量の目安は1平方メートルあたり200g~500g。
追肥の場合は株元から離れた場所に与えます。
使用量の目安は1平方メートルあたり100g~200g。

豚糞堆肥の効果と使い方

豚糞堆肥は豚の糞尿にもみがらやオガクズなどの副資材を混ぜて発酵させたものです。
豚糞堆肥の効果と使い方をまとめてみましょう。

豚糞堆肥の土壌改良効果

豚糞堆肥はあまり土壌改良効果を期待できませんが
副資材(もみがらやオガクズ)によっては多少の土壌改良効果が見込めます。
土壌改良効果は鶏糞堆肥より優れ、牛糞堆肥より劣ります。

豚糞堆肥の肥料効果

豚糞堆肥は肥料効果がある程度期待できます。
とくにリン酸は豊富に含まれています。
肥料効果は牛糞堆肥より優れ、鶏糞堆肥より劣ります。

豚糞堆肥の使い方

豚糞堆肥は牛糞堆肥と鶏糞堆肥の中間くらいの性質を持っています。
土壌改良効果は牛糞堆肥より劣りますが、鶏糞堆肥よりは優れます。
肥料効果は鶏糞堆肥より劣りますが、牛糞堆肥より優れます。
どちらかと言うと肥料目的で使う方が効果的だと思います。

腐葉土の効果と使い方

腐葉土は広葉樹(クヌギやナラ、ケヤキなど)の落ち葉が堆積したものです。
腐葉土の効果と使い方をまとめてみましょう。

腐葉土の土壌改良効果

腐葉土は土壌改良効果が高い堆肥です。
バーク堆肥よりも有機質が比較的粗いので、土壌により多くのすき間ができます。
ただし、土壌改良効果の持続性という点ではバーク堆肥の方が優れています。

腐葉土の肥料効果

腐葉土はほとんど肥料効果は期待できません。
肥料は別に与える必要があります。

腐葉土の使い方

基本的にはバーク堆肥と同様の使い方です。
鉢植えであれば用土の20%~30%、
地植えであれば1平方メートルあたり2~3kgを土に混ぜ込みます。

馬糞堆肥の効果と使い方

馬糞堆肥は馬の糞尿と敷き藁などの副資材を堆積・発酵させたものです。
馬糞堆肥の効果と使い方をまとめてみましょう。

馬糞堆肥の土壌改良効果

馬糞堆肥は牛糞堆肥と比較的似た性質を持っています。
よってある程度の土壌改良効果は見込めます。
しかしながら、土壌改良目的で大量に混ぜ込むのはNG。
鉢植えであれば用土の10%程度、
地植えであれば1平方メートルあたり1kg程度を目安にしましょう。

馬糞堆肥の肥料効果

馬糞堆肥はカリウムを豊富に含んでいます。
馬糞堆肥だけで全ての肥料成分を賄うことはできないので
別途肥料を与える必要がありますが、
生育後期のカリウム補給として馬糞堆肥を使うのは効果的でしょう。

馬糞堆肥の使い方

馬糞堆肥を土壌改良目的で使うのであれば鉢植えの場合は用土の10%程度を目安に、
地植えの植物および家庭菜園の場合は1平方メートルあたり1kg程度にとどめ
残りはバーク堆肥や腐葉土など植物性堆肥を併用して全体としては2~3kgを
目安に良く混ぜ込んでおきましょう。

カリウムの効きが良いので、
植物の生育後期におけるカリウム補給として追肥をするのも良いでしょう。

土壌改良効果の高い堆肥は?

ここまで6つの堆肥を紹介してきましたが、
土壌改良効果の高い順に並べてみると…

・バーク堆肥
・腐葉土
・馬糞堆肥
・牛糞堆肥
・豚糞堆肥
・鶏糞堆肥

土壌改良効果が最も高いのはバーク堆肥です。
腐植を多く含み、物理性の改善効果が長期間持続することがその理由です。
腐葉土もバーク堆肥に近い効果が期待できます。

一方で、鶏糞堆肥は土壌改良効果がほとんど期待できません。

肥料効果の高い堆肥は?

一方で、肥料効果の高い堆肥を順番に並べてみると…

・鶏糞堆肥
・豚糞堆肥
・牛糞堆肥
・馬糞堆肥
・腐葉土
・バーク堆肥

土壌改良効果とは全く逆のパターンになります。
特に鶏糞堆肥は上手に活用すれば即効性の有機肥料として効果が見込めます。

土づくりに牛糞堆肥が好んで使われるのは
土壌改良効果と肥料効果のバランスが良いからなんですね。

しかし、肥料は別途与えることを考えると、
土づくり(土壌改良)目的の堆肥はバーク堆肥や腐葉土など
植物性堆肥を主体で考えた方が良いでしょう。

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