苦土石灰は酸性土壌の中和に用いられる家庭菜園では一般的な石灰資材です。
土壌酸度の調整ができると同時にカルシウム・マグネシウムの補給もできるので
(苦土=マグネシウム、石灰=カルシウム)、
愛用されている方は多いのではないでしょうか?
苦土石灰は適切に使用すればとても有用な資材なのですが、
撒き過ぎはやはり良くありません。
過剰に投入された苦土石灰がどのような影響を及ぼすのかをまとめてみましょう。
そもそも苦土石灰とは?
苦土石灰は生物由来の鉱石である苦灰石(ドロマイト:CaMg(CO₃)₂)を
粉砕してできた土壌改良資材です。
上の写真のような粉末状のものと、粒状のものがあります。
主成分としては炭酸カルシウムとマグネシウムです。
その他マンガン、ホウ素、モリブデンなど微量要素も含まれています。
苦土石灰の利用目的
酸性土壌を中和させることができます。
雨の多い日本はカルシウムやマグネシウムなどが流亡して
土壌が酸性に傾きやすいと言われています。
多くの植物は弱酸性(pH5.5~6.5)の土壌が適しているため
酸性土壌は苦土石灰などを使って中和させる必要があります。
植物にとって重要な肥料成分の補給になります。
また、苦土石灰に含まれるカルシウムやマグネシウム、各種微量要素は
植物が育つ上で必要な肥料成分でもありますから、
その補給と言う意味でも苦土石灰の適切な使用は有効です。
苦土石灰を撒き過ぎるとどうなる?①アルカリ性に傾き過ぎて微量要素欠乏に陥る
苦土石灰は酸性土壌の中和にはとても有効な資材ですが、
過剰に投入すると当然のことながら土壌がアルカリ性に傾きます。
アルカリ性土壌になると微量要素(ミネラル)が土壌に溶け出さず、
植物が微量要素を吸収できなくなってしまいます。
苦土石灰には微量要素も含まれているのですが、
土壌に溶け出してこなければ植物は利用できないのです。
苦土石灰を入れ過ぎるとどうなる?②植物が水や肥料成分を吸えなくなる
少し極端な例ですが、過剰に投入された苦土石灰と
硫安など化学肥料を常用している場合に起こりうるのが「塩類集積」です。
例えば硫安(硫酸アンモニウム)は水に溶けるとイオン化し、
アンモニアは植物の根に吸収されますが硫酸イオンは土壌に残ります。
その硫酸イオンと苦土石灰に含まれるカルシウムが結合して
「硫酸カルシウム」となります。
硫酸カルシウムが蓄積されると土壌の浸透圧が高まり、
植物が水を吸いたくても吸えない
いわゆる「塩類集積」の状態に陥ります。
水を吸えないと言うことは肥料も吸えないということです。
露地であれば塩類集積はほぼ起こらないとは思いますが、
植物に吸水ストレスを与えるのはできれば避けたいですね。
苦土石灰を撒き過ぎるとどうなる?まとめ
苦土石灰を過剰投入した場合、
・化学肥料と併用していると植物に吸水ストレスを与える可能性がある
上記の2点において植物への悪影響が考えられます。
何事も「過ぎたるは猶及ばざるが如し」、
過剰投入には注意しましょう。
土壌酸度は植物の生育に大きく影響します。
定期的な計測をオススメします。
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